<< 活動日誌の目次に戻る
(08・7・25)雇用促進住宅廃止問題で政府交渉
雇用促進住宅の廃止・売却は道理なし
今日は全国の雇用促進住宅14万戸35万人の住宅が政府の一方的都合で廃止される問題で、東海ブロック、南関東ブロック合同の政府交渉をおこないました。要請項目は以下の通りです。 雇用促進住宅の廃止・売却に関する要望 雇用促進住宅は、当初の移転就職者用宿舎としての役割に加え、政府自ら「住宅建設計画」に位置付けてきたことでも明らかな通り、国の公的住宅供給の重要な一環として重要な役割を担ってきたものであり、そのもとで入居し生活してきた住民は、公的住宅での安定した居住生活を期待してきたものである。 また、今日の入居者の状況は、仕事、年齢、収入状況、生活歴や家族の事情等からみても、短期間に代替住居を確保し生活していける条件を備えた人は少ない。 そうした点から、以下、要望する。 記 1. 入居者の理解を得ないまま一方的に行われた、住宅廃止決定を白紙に戻すこと。 2.入居者の声を十分に聞き事情もよく理解したうえで、一方通行でなく時間をかけた話し合いを行い、仮にも住宅の廃止、入居者退去を強行することのないようにすること。 厚労省の職業安定局総務課中村祐一郎調査官は、雇用促進住宅のもともと移転就職者用の宿舎として整備されてきたが一定の役割は果たしたので、規制改革・民間開放推進会議の「2007年度から15年間で(20021年度までに)譲渡・廃止を完了」との答申を受け、2007年6月の閣議決定で「遅くとも平成33年(2021年)度までに全ての処理を完了」を決定した。さらに同年12月24日の閣議決定では、「進ちょく状況が十分でない」ので、まず「1/2程度」に前倒しして「廃止決定」売却を加速化することを決めてきた。これらの経過をぜひご理解をと回答しました。 また、雇用・能力開発機構の住宅譲渡部譲渡推進第一課長の伊藤浩之氏は、雇用促進住宅は2021年までに全ての処理を完了すること。新規入居の廃止、その経過について普通借家には説明会をおこない、定期借家についても契約満期になること。留守の住宅には再度説明に伺う。これらの措置をした上で普通借家の人には今年中に説明会をおこない、その上で、退去、立ち退き料の説明をおこなう。 雇用・能力開発機構は各県に相談窓口があるので、ここを活用してほしいこと。雇用振興協会も相談窓口はある。管理主事も週1回は巡回しているのでその時に相談は可能。聞いても満足な答えがないとの声もあるが、真摯に対応していきたい。各都道府県センターでもよく対応してもらうように、周知徹底をはかりたいとの回答がありました。
定期借家の住人も説明会に参加できる
その後の質疑では、17人が発言しました。浜松市天竜区の酒井豊実浜松市議団事務局長は「浜松市は16ヵ所、1633戸、1640世帯があり入居率は90%以上であること。ものづくり産業、浜松の地場産業を支えている若者、高齢者が入居している。『ベランダの柵がさびて布団を干してもさびが付く。手が怪我をするかもしれない。家賃を払っている限りちゃんと整備をしてくれ』と言われている。また、自治会も支え、祭りの2/3を支え、地域と一体となって支えている。浜松では16ヵ所集団で説明会をやってほしい。管理主事は『上からの指示に従うだけ。管理主事は1年契約なのに説明の矢面に立たねばならない』。厚労省が前面に立って説明してくれ」などと実態を告発。 また、伊豆市の木村建一市議は「@行革によりテンポが速くなっているというが、住むところを中心に仕事も保育園も学校も決まること。A説明会を行なうことは大切だが、閣議決定を説明するだけの説明会は説明会ではない。B閣議決定は国会決議・法律より上なのか」と発言。 さらに、「雇用促進住宅に住んでいる人たちは低所得者の若者、高齢者が多いこと。ここを追い出されたらどこに住んだらいいのか」など次々と質問・意見が飛び交います。 こうした意見に対し厚労省の職業安定局総務課中村祐一郎調査官は、「行革を進めるべきとの流れの中で来ている。あまり進んでいないのではないかとの圧力もある。本来の目的は何だったのかとの対比で言われていること。炭鉱労働者の広域移動など、全体の中では小さくなっている。他の住宅でも果たせるのではないか」と回答。 雇用・能力開発機構の住宅譲渡部譲渡推進第一課長の伊藤浩之氏は、「『ポストに入れただけで説明会も何もない』との意見に対しては、説明をするための訪問を早急にやることは再度徹底していきたい。説明会については1日も早くやりたいこと。横浜の本部主導でやってきたが各県のセンターからも対応していきたい。子供の通学・通園、高齢者は引っ越ししづらい。出る時期は説明していきたい。普通借家契約の人には立ち退き料を考えている。定期借家は2年間の契約でそれに従い退居するので説明会は考えていないこと。両者が合意すれば延長はあるが、なければ2年で退去となること」と回答。 その後、さらに厳しい意見も飛び交い、改めて担当者の回答を求めました。 厚労省の職業安定局総務課中村祐一郎調査官は、「閣議決定は政府内で決めたと言うこと。本社の決定に支社は従わなければならない。しかし、国会で違う決定をすれば違うことになる。閣議決定は拘束力はない。法律家は閣議決定だけで進めることは、ひとつの要素にはなるが・・・。繰り返しで恐縮するが閣議決定で決められたので・・・。ご意見は検討させていただきたい」と回答。 雇用・能力開発機構の住宅譲渡部譲渡推進第一課長の伊藤浩之氏は、「地方公共団体への移譲は、10年以上住宅として施設を活用する場合は、最低、民間への売値の1/2まで値下げする。返済も年賦で10年まで可能。自治体に買ってもらうのが一番良いので、さらに頑張りたい。機構は閣議決定に反してもやれとの痛い指摘もあるが、閣議決定を踏まえ機構でできることは色々検討したい。閣議決定は守らなければ成らない立場。契約書にある修理はしていく。計画的な修繕は抑制していく」と回答。 ま た、売る場合は耐震や外装の修繕するのか?との質問に対して、 「空き家保障、外壁の大規模補修をやった場合、売値に上乗せしていく。不動産鑑定の価格になる。(売るということでの修繕はしないのではないのかな)普通借家には集団説明会はしていきたい。定期借家の人への説明会は持ち帰る」と言うことになりました。 また、「普通借家の説明会に定期借家の住人が参加しても、『それは出るな』とは言えない。法的根拠もない。普通借家の住人に説明会をしなければならない法的根拠もない」とも語りました。どちらにしても退去を迫る場合でも、説明をしなければならないわけですから、きちんと説明すべきです。 8月に入ったら小池晃参議院議員が厚労大臣との交渉をやる予定とのことが報告されました。
、「後期高齢者医療制度撤回」の署名を手渡す
交渉後、党静岡県委員会が集めた、「後期高齢者医療制度撤回」の署名が党国会議員団に手渡されました。
政府交渉の参加者発言要旨
7月25日に行った政府・機構との交渉の概要はすでに、28日付の「しんぶん赤旗」本紙に報道されていますが、当日の録音にもとづき、以下に詳しいやりとりを報告します。ただし、冒頭の部分が録音されていなかったことや、収録された音質が悪いこと、また発言の要点をわかりやすく整理した関係上、あくまで要点筆記であり速記録ではないことを、お断りしておきます。 【冒頭部分】 開始にあたり佐々木議員が簡単に挨拶。続いて、厚生労働省と機構の担当者が、予め提出してあった要望書に対して、回答の発言をしました。 (要望事項) 1.入居者の理解を得ないまま一方的に行われた、住宅廃止決定を白紙に戻すこと。 2.入居者の声を十分に聞き事情もよく理解したうえで、一方通行でなく時間をかけた話し合いを行い、仮にも住宅の廃止、入居者退去を強行することのないようにすること。 これに対する厚生労働省の「回答」は、これまでの国会議員への説明や、機構の「想定問答集」を同じく、「住宅が役割を終えた」として、これまでに行われた閣議決定の経過などを縷々(るる)述べただけでした。 また機構の担当者も、@普通契約者に説明後、6ヶ月をおいて契約更新拒否通知を送り契約終了、A定期契約者は、契約期間満了の6ヶ月前に文書通知することで、自動的確定的に契約が終了し最契約しない、という2通りの方法で入居者に退去を求めるという、手続き論を説明。詳しいことは、各都道府県センターにも相談窓口があり、住宅では管理主事が週一回、巡回しているので、相談してもらえるようにしているが、これまで、満足のいく答えが返って来ないという指摘もあったので、しっかり対応するよう、会議で徹底をはかり、直接、指導にもでかけると述べました。 【参加者の発言と当局とのやりとり】 ●岐阜県土岐市 住宅が役割終えたというが、土岐市では若い人も多く、地場産業にも大きく貢献している。家賃も安いし、工房を開くにも苦労しているくらいだから、助かる。市営住宅は単身では入れないし、民間は高い。「こんなことなら、郷里へ変えるしかないのかなあ」と言われると、地場産業の雇用主は「折角、遠いところから勉強に来てくれている人がやっていかないのは」と残念がっている。 なぜ、そんなに前倒しして急ぐのか。「赤字だから」というが、市もそれを買って欲しいといわれても、簡単ではない。 説明に早く来てほしい。集団でも良いから。すぐ隣町の空いているほかの住宅に移らせて欲しいといっても、管理人さんから「受け付けるけど、また2年後には次のところを考えなければいけないよ」といわれて困っている。 ●土岐市・入居者 ここ3ヶ月くらいでコロッと変わって、来年から出て行けとなったので、困ってしまっている。引っ越すには最低でも50万円から60万円くらいかかるが、そんな金はない。どうなっているのか。 ●山梨県 平成33年までに廃止と言っていたのに、なぜ前倒しになったのか、管理人に聞いても説明されない。センターの方では「まだそれ以上には決まっていない。もう少しいろいろ決まってから説明したい」と言っているが、ろくな検討もしないでいきなり廃止だけ決定したのか。無責任じゃないか。韮崎の法でも「引越し費用もなく余裕がない」という声が出ている。子どもの通学のことでも不安があり、乳が出なくなったという人もいる。 ●愛知県東海市 市内に4箇所あり、富貴島住宅にも4月に通知がきた。 この住宅は(?年くらい)前にも、改築という形で2棟が取り壊された経過が一度あった。そのときも、残して欲しいと住民のみなさんががんばったが、2棟がなくなった。 さきほど「管理の人が一週間に一回くらい巡回している」と言われたが、廃止になったという張り紙がしてあっただけという。 前にも入居契約が停められ、このままでは高齢者ばかりになり、子ども会も、自治会も成り立たないし、地域の生活が成り立たないということで、2年ほど前から10軒ほどの方が入られるようになった。やっと安心していたところへ、この4月1日から廃止ということで、高齢者は夜も眠れない。一刻も早く、安心できるよう説明をしてほしい。 ●岐阜県高山市 「役割が終わった」というのは「閣議決定でされた」とのことだから、それなりに現場から声が上がってきた上で決定されたのかなと思うが、その経過が分からない。それで、「閣議決定されたから従わなければならん」というものだから、さっぱり分からない。現状を分析して、「空家がほとんどで、募集かけても誰も入らない、だから役割を終えた」というなら、そういうように説明してほしい。 私どもの状況は、64戸ほどのうちほとんどは若い世帯で、子どもも小さい。中学生くらいになると、これでは狭いというので、新しい家を求めて地域へ出ることになるが、高山市にとっても「少子化対策」とか人口を増やすとか、地域に根付いてくれて貢献度が高い。だから、雇用促進町だけではなく、まわりの町内あげて存続を求めたいと声をあげている。そういうところを見てなお、「役割を終えた」といえる根拠はあるのか。 ●岐阜県恵那市 6箇所11棟あるが、4箇所が入居停止。説明会は「問い合わせがあった人にだけ検討する。年内には開く」ということを言っているだけで、「詳しいことは名古屋の方に聞いてくれ」と言われている。また、一箇所は残ることになっているが、そちらへ移ることはできませんといわれ、「じゃあ、どうすれば良いんだ」と困っている。 「これはもう撤回しかない」と思うが、いずれにしても説明会を早く開いてほしい。 雇用促進住宅というのは今も、重要な役割を果たしている。働き手がいない、あるいは働く人が居るが住むところが無いという中で、街づくりにも重要な役割を果たしている。 ●静岡県掛川市 9棟730世帯中の5棟343世帯が今回の廃止対象。「役割を果たした」とおっしゃるが、「役割」というのは、そこに住む人たちが、少なくとも同じ条件でその地域に住めるようになっているということなら、「果たした」というのだと思うか。市営住宅も同じように40年、50年たっているのを、少しずつ作っては建て替えをしている。雇用促進のようにいっぺんにドサっとやるなんてことは考えられない。 ●司会 ここで当局からも話してもらいたい。それにあたって確認したい。「廃止」と「廃止決定」という言葉が出たが、15年間で3分の1まで廃止完了するというのが機構の中期目標で、「2分の1廃止決定」というのは、それくらい決めておかないと廃止作業が進まない、というものですね。 それから、説明会の要望が多いのは当然だが、機構としては「本年中に入居者説明会を開催し、それ以降、貸与契約期間の満了の6ヶ月前を迎えた入居者の方に、借地借家法にもとづき、貸与契約更新拒絶通知書を送付する」とある。つまり、一回説明したら、そこから更新拒否をしていくと読める。だが、みなさんの要望は「納得のいく説明をしてもらわないといけない、一度やったからといって、そこから拒絶だというのでは困る」ということなので、そこを踏まえてお話しいただきたい。 ■厚生労働省 「廃止」に関してはご指摘通り。 このことは、一方で行革の流れの中でずっと話がされてきていて、厚生労働省としてはお伝えすべきことは申し上げ、たとえばヒヤリングの場などで「入居者がいらっしゃる」、「住宅難であります」というようなことは言ってきた。とは言いながら、「行革は大事だ」という一方の価値観があって、そういう議論の中からは、行革で進めてきたというのが、大きな流れ。そういう中で、自治体に譲渡するという考えでやってきたが、「余り進まんではないか」というような圧力――表現の仕方としてはアレですが、客観的な議論として、そういう議論があったということはご理解願いたい。 「役割を達成していないではないか」ということは、言葉の綾のようなところもあるが、本来、雇用促進住宅が設けられた目的はもともと何だったのかと、いうこととの対比で言われている。そういうことで言うと、炭鉱労働者の転職にあたっての住宅というのが、もともとの趣旨だったが、実際に住んでおられる方でそういう方の比率は低くなっている。今の雇用促進住宅の果たしている役割は、他の住宅でも果たせないものかどうかということになると、そうではないのではないかと、という議論だ。 といっても、現に住んでいらっしゃる方がおられるということは、重々頭において進めていく必要は当然、あるだろうと考えている。 ■機構 ポストに文書が入ってきただけという、お怒りはごもっとも。我々も説明すべきものと考えており、管理主事を中心に廃止決定住宅を回らせていただく。来週にでも一回、行かせていただくことになると思う。 説明会は一日も早くと考えている。今まで本部(横浜)主導でやってきたが手が回りきらないので、都道府県センターで対応することにしている。すぐには手が回らないところがある。振興センター等で体制を整えているので、ご相談をいただきたい。 子どもさんの通学のことなどで、引越ししづらいというようなことは、私どもも認識している。地域は確定しているので如何ともしがたいが、説明はさせていただく。 引越し代については、普通契約者の方には立退き料の支給をさせていただきたい。額については、個々の住宅、部屋の大きさ等で違いがある。現在、住宅ごとの算定をやっているので、あとでまた説明させていただく。 立退き料は定期借家の方は2年間の期間満了で契約が切れてしまうので、支給されない。 普通借家の場合は、説明会実施後に退去日が決まるが、定期については2年間で確定的に契約が切れるので、それをもって退去してもらう。集団での説明会は行わない。ただ、定期借家についても通知票(文書のこと?)は配付しているので、それについての説明には回らせていただくし、窓口でも説明にも応じる。 ●愛知県一宮市 現にたくさんの居住者がいるのに「役割を果たした」というのは理解できない。また、ほとんどが高齢者。家族同居は少なくほとんど単身者。高齢者いじめではないか。 たいへん狭く、一時あった2戸1改造の計画も立ち消え。外壁がはがれて落ちてくるところもあるという危険な状況でも、何もやってくれない。安全面の配慮もなく、早く出て行けという嫌がらせかという声。 足の悪い人が5階に住んでいて、上り下りが大変なので部屋替えを希望しても受け入れてもらえない。 文書も置いていかれるだけだし、抽象的で、高齢者には内容が分からない。 ●静岡県浜松市 浜松では16箇所と多く、90%の入居率。あるところでは100%近い入居率。物づくりの待ちなので、地場産業を支えている派遣、中高年、外国人などが住んでいて、浜松の地域経済にとって無くてはならない住宅。そこへ廃止の知らせで大きな問題になっている。 私は、入居者の人たちが地域整備の草刈をしているところへ呼ばれて説明した。「手すりがさびて真っ赤で布団にも錆が付く。何とかしてくれ」ということもいわれ、私、謝る必要は無いけれども、「申し訳ない」と頭を下げた。そして、こんど、厚生労働省に言ってくると約束してきた。 人が住んでいる以上は、居住権、生活がある。家賃を取っている限りは、大家さんとしても責任は果たさなければならない。それを放棄しているじゃないか。ぜひやってもらいたい。 たとえ3年後、5年後に廃止になろうとも、人が住んで、子どもたちもそこで育っている。どの子どもたちが、どんな思いで大きくなるのか。いい場所で、楽しく住んだなあと、思うだろうか。 それと、地域とのつながりという点では、自治会を支えている。自治会館を建てたけれど、その借金の半分以上は住宅の人が払い続けている。おっそり抜けたらこれ、どうなるか。お祭りもそうだ。3分2くらいは住宅の人が支えているところがある。屋台も動かない。祭りも消えてしまうんですよ。まさに地域といっしょになってがんばっているというのが、促進住宅。こういうところが16箇所ある。 だから説明をしっかりやってください。個別じゃいけない。対面で、膝を交えてやってほしい。さきほど「管理主事さんに」と言われたが、私も管理主事さんに昨日、会って話を聞いてきた。「私どもは弱い立場で、上の方からの指示で動くしかありません」、「たしかにポスティングはやりました」。それだけなんですよ。この管理主事さん、協会の委託業者ですか。それも4月から1年契約だという。そういう人が矢面に立って説明をするなんて、できっこない。国策でやられているんだから、厚生労働省、機構が前面に立って、膝を突合せて、汗をかいて説明をする、これをぜひやっていただきたい。 ●岐阜県 アンケートを行って得たナマの声を紹介する。 ・ 「封書一枚で説明なし。普通借家の人には保証金と家賃の差額が2年分出るのに対して、定期借家の人には敷金が戻るだけ。ギリギリの生活でお金がないのに、どうやって引越しすれば良いのか。それに、平成19年11月から20年1月にかけて、耐震工事や屋上の防水工事を行ったばかりなのに、廃止するのはそれこそ税金の無駄遣い」(22歳女性、一人住まい。定期契約、期限21年10月31日。「最後まで住み続ける」) ・ 「政府の閣議決定とかで、一方的、突然な話。説明会を一日も早く行っていただいたうえで、以降の対処を考えたい」(56歳、男性。妻と2人暮らし、普通借家、期日22年11月、「最後まで住み続ける」) ・ 移転は仕方が無いと思いますが、「我が家には、契約終了時に小学6年生になる子どもがいます。現在通っている学校での卒業は、このあたりのアパートの状況を考えると無理のようです。どの家庭にも区切りというか、引越しできる時期があると思います。ただ『契約終了→退去してください』というのは一方的過ぎる。せめて一軒一軒、どのタイミングで退去できるかを聞いてほしい」(夫婦と子ども2人、普通契約) ・ 「ここで離婚して、いまも契約者は前の旦那。引越し先の新しいアパートの契約者もここと同じでないといけないと聞きましたが、とても困る」(29歳女性、子ども2人との3人住まい。普通契約) ・ 「急な追い出しに戸惑っています。子どもがいる我が家にとっての移転は、学校を転校しなくてはならない。子どもが嫌がる転校のことを考えると、心が痛む。せめて下の子(小2)が高校に入学するまでは、ここを離れたくない」(40歳男性。普通借家。「現在と同程度の家賃で近くの移転先と十分な補償があれば移転してもよい。希望補償額500万円」) ・ 「23年までに廃止という趣旨はまったく理解できない。@建物を壊して土地も民間に売却、A土地、建物を残して、退去後に売却――@なら補償費をもらって出るしかないが、Aなら納得できない。譲渡先を見つけ(たとえば市)、譲渡額、家賃を決めるというのが、道筋。23年度になると70を迎える。高齢者は家を借りることはできない。自殺でもするしかありません」(67歳男性、一人住まい、普通契約。「最後まで住み続ける・現在と同程度の家賃で近くの移転先と十分な補償があれば移転してもよい」) ほとんどがこういう声。こんなやり方では無理だ。定期の人にも説明会を開いてください。自治体に譲渡するときは、自治体が応じられるような条件でやってください。高い値段で売りつけようとしたって、買うはずがない。 ●岐阜県高山市 町内会として駐車場に150台くらい停められる場所を借りている。この4月から入居者を受け付けないということで新しい人が入って来ない。こんど出て行く人がいっぱいいるということで、今後お金を払っていくこともできなくなる。借りている駐車場を返すにも、アスファルトをめくって元に戻す代金も必要になってくる。どうやって町内会を運営していけば良いのかと言うことで困ってしまっている。 毎年8月になると夏祭りが計画されて、みんなで楽しくやっていたが、とりあえず今年はこんな状況だから、お金を使うことができないというので、中止せざるを得ない状態になってしまった。非常な不安で困っている。何とか、いい方向でお願いしたい。 ●三重県四日市市 「役割」についてだが、最近は若い人ばかりで、四日市に就職してきたり、四日市市内に住むところがなくて入られたという人たちばかり。自治会にとっても重要な役割を果たしてくれる。それが、場合によっては年越しもせず引っ越さなければならんという、これではあまりに無慈悲だ。地域の学校の入学者や保育園の入園者も増えてきている。 エネルギー転換政策のなかで、家族を離れて出てきた。そこを今度は出て行けというようなことは納得できん。高齢化して、老老介護、一人暮らしがふえ、半月くらい気づかれずに孤独死していた事件もあった。 そういうなかで、みんなで助け合うという街づくりが少しずつ進みつつあるが、更地にして、ワンルームマンションにでもなったら、自治会として成り立たない。そんな一方的なことは撤回して欲しいという声が圧倒的。 それから、270戸のうち約80戸が空いている。そこへ鳩が入り込んで目も当てられないし、異臭がすごい。管理事務所の人たちも「予算がありませんので、まあ何とか、お宅の方からも言ってください」という状況。また、バス通りに擁壁がある。それが傾いてきて、地震が来たら一発で崩落の危険がある。これについては再三再四、要望し、すでに辞められた名古屋支社の人も私のところへ来て、「こりゃあ大変だ。すぐ修理する」と約束をいただいたにも関わらず、なかなかそれが実現しないという状況。 それから、高齢の方はわずかな年金で暮らしておられる方が多いだけに、引越しなんてことは大変なこと。先日も市営住宅の抽選があった。お2人申し込まれた。1人は障害者だが、2人とも抽選もれだった。市は「特別の配慮はできません」という。 市には3回、買取の要望をされているそうだが、市は「引き受ける意思はまったくない」と断っている。 ●三重県伊勢市 65歳の男性の身体障害者。以前、退去を求められたとき、猶予をしてもらったのだが、今回、文書を放り込まれただけで退去を求められた。余りにも冷たい。本来、このような猶予の対象になった人に対してキチンと説明をしたうえでならともかく、こんなやり方でよいのか。(ここにおられる厚労省や機構の)皆さんは、閣議決定そのものが誤りだと、そういう声をあげるべき立場の方々ではないか。そういうみなさんが、「閣議決定だから仕方がないんだ」ということで入居者に退去を迫るというのは、余りにも冷たい。ぜひ、入居者が納得できる、またいつまでも住んでいたいという人には住んでいただけるような環境を作るように努力をしていただきたい。 みなさんが、閣議決定は誤りだという立場で仕事をしていただけるなら、私たちも全力で応援し、いっしょにがんばって行きたい。 ●岐阜県中津川市 7箇所のうち3箇所が廃止。集中管理の事務所に聞いたら「残念ながら、ここでは分かりません」ということで、「県のセンターに聞いてください。もしくは実務的なことは、協会の方に聞いてください」ということでした。だから管理人さんに説明を求めたとしても、十分なことは分からない。そのなかで紙切れ一枚で廃止、11月末になって契約が切れる、1月に出なければいけないという人が出てくる。 管理人は「説明会を年内にやりたいと言ってくるでしょう」と言っていた。「年明けに出なければいけないというようなことを、どうして年内に説明してやれるんでしょうか」と訊いても、「それも上の方から言ってくるまで分からないんです」という返事。そういうことが説明できない状況でどんどん進めていくというのはおかしい。 市への売却のことを市の方に訊いてみたが、まだ条件提示も何もされていないという。「売却に努力している」というが、どの程度やっているのか、はっきりさせてほしい。 最後に、さきほど学校に関することが出ていたが、中津川市ではこの7月から「学校学級数等配置適正委員会」を立ち上げた。これは文科省が言っている、学校の規模や配置を適正に見直すというもの。しかし、中津川市の7つの住宅が今後、15年間に廃止されたら、人口の移動がすごくなる。私の団地は子どもが少ないといっても30人くらいいる。 学級数一つ変えるにも大変。中津川市の場合は8市町村が合併してできた。そこで大規模校も、複式学級ができる学校も生まれてくる中で、学校の適正配置をと言ってこられて、これからそれを検討していかなければならない。だけど、そういう中でいまある住宅がどのように変貌するかつかめないなら、適正配置の組みようがない。 こういうことも、縦割りでなく全体を見渡して考えてほしい。 ●静岡県伊豆市 「行革によって急にテンポが速くなったんだ」と言うが、「あなたはもう終わりだから、自分の好きなように生きなさいよ」と言われて、たとえ同じ市内で引っ越したって、働く場所、通学・通園する場所ができるかといったら、できない。行革とは、生活の場を奪うことなのか。 もう一つ。「説明する」ということも、「閣議決定されたから」と、そのスケジュールをずーっと説明しても、それじゃあ説明にならない。閣議決定ってそんなに重要なのか。国会の多数決で決まったんだったら、「あー、仕方が無いな」と思うけど。閣議決定でどんどん進むんだったら、国会は要らない。これは乱暴すぎる。 皆さんが説明するときは、閣議決定とは何なのかをきちんと説明して、法的根拠も明らかにするのが説明会なんです。説明会は丁寧にやることは必要だが、閣議決定を並べて、「決まったものだ」というのは、説明会じゃない。国民の立場で、正すべきものは正すということでないといけない。スケジュールどおり説明するようなものなら、必要ない。 ●南関東ブロック事務所・大森 「閣議決定」ということが「正当な自由」にあたるか、検討されているのか。神奈川では「耐震性」も「正当な自由」になりえないということを、弁護士にも検討してもらった。裁判をやったら住民が勝ちますよということ。国の政策的変更によって居住権を奪うというようなことは今までいっさい無かった。厚労省、機構の皆さんも不本意ながら仕事をしておられるのではないかと思うし、「言わざるを得ない」というような言葉もあったが、雇用もいま劣悪な状況にあるなか、ますます住宅の役割は大きいのではないか。 ●岐阜県土岐市 耐震診断を行ったということだが、その結果を教えてほしい。本当に住み続けられないものかどか、結果を出してほしい。 ●土岐市 37年間住んでいるが、畳が腐って斜めになっているので、その部屋はいっさい使えない。押入れもあるが、カビだらけで、傾いていていて、使えないので、空箱しか置いてないんです。それも7年も8年も前から頼んでいたのに、結局、壊しますからということで、直してくれない。雨降りの時はなんともないが、2日目か3日目になると、ひび割れから水が30分に一回くらい、ポタン、ポタンと落ちる。それが畳にしみて、コンクリートをつたい、外側の階段に腐った変な色の水が出てくる。管理人に言っても「いずれ直します」と言って、結局直してくれない。 ■厚労省 閣議決定というのは政府部内の決定で、いわば本社決定というようなもの。もちろん国会の議論で立法があれば、そちらが優先されるのは当たり前。また閣議決定で決まっているだけで国民を拘束するものではない。しかし、私どもとしてはそれにそって仕事をせざるをえない。 「正当事由になるのか」ということは、法律家の意見を聞いたようなこともあったが、ただ単に閣議決定だけで正当な理由ということは無いだろうが、総合的に勘案していく中での要素の一つではあるだろうということだと思う。 この場で生の声を聞かせていただいて、個人的には感じるところがあるが、繰り返しで恐縮だが、まずは閣議決定をどういうふうにやっていくかということで、たいしたことをお約束できないが、ご不満の解消とか、何かできることはないか、検討はさせていただきたいということなので、ご理解願いたい。 ■機構 売却については、地方公共団体が引き受けていただければ最良だと考えているので、10年間活用していただければ、最低価格の2分の1まで下げることができる。また、10年割賦までは認めるということで当たっている。これまではなかなかいい答えが無かったが、だんだん「検討させていただく」というところが増えてきている。ご満足のいく数ではないが、最優先でやらせていただきたい。 我々が閣議決定に反してでも住民を守るべき立場ではないかと、非常に痛いご指摘を受けた。今のところは閣議決定にそってやらせていただきたい。その中で、ご要望のすべてをできるとは思ってはいないが、決定をふまえて、できる限りのことはやらせてもらいたい。定期の方についても何かできるのか、検討はさせていただきたい。 修理ついては、規約に書かれていることについては、やらせていただきたい。廃止決定をしているということで、計画的な修繕はやらないが、危険なものについては修理する。 ●(不詳) 最低価格の半値まで下げる、10年までの分割まではOKということだったが、耐震や外装などによっては売れる物件にはならないのではないか。 ■機構 空家補修などは当然、やることになると思うが、外壁など大規模修繕をすると、逆に鑑定価額が上がってしまうということもある。耐震について、本当に危険なところは廃止しているが、その他のところは、売るということでの大きな修繕というのは、しないのかなと思うが、今は正確なことは言えない。 ●(不詳) 閣議決定を踏まえてできるだけのことはというなら、定期の人を含めて説明会など開くと了解してよいか。 ■機構 普通借家契約については、なぜ廃止になったのか、立退き料の説明、退去期日の説明が中心になると思うが、きちんとやりたい。しかし、定期については考えていない。 ●井上参院議員 定期借家契約者にできない理由があるのか。 ■機構 説明しちゃいけないという理由はない。 ●司会 逆説的に言えば、普通契約者について、説明会をしなければならない法的な根拠をおもちですか。 ■厚労省 ありません。 ●司会 だったら同じではないか。定期の人に「納得できない」と居座られたら、どのみち説得にいかなければならないでしょう。 ■機構 今の時点では、・・・。 ●司会 持ち帰って検討してほしい。 ■もちろん、持ち帰ります。 ●(不詳) 普通借家の説明に定期の人が参加しても良いのか。 ■機構 普通契約に関しての説明ですが、「出て行け」とはいえない。 ●井上 生の声をこれだけの規模で聞いたのははじめてだと思う。住宅が役割を終えたというのは現実とまったく違うということも浮き彫りになったと思う。閣議決定の前提が間違っていることが浮き彫りになったのだから、これはまず元に戻すべきだ。 たくさんの宿題も出たので、持ち帰ってもらいたい。「本社の決定のようなもの」だということも言われたが、(いいなりでなく)「現場ではこれだけの声が起きている」ということを本省、政府にもしっかり伝えてほしい。 「説明」も形だけ年内にとりあえずやるというのではダメだ。住民の合意と納得なしに強引なことは絶対にやらないという立場でやっていただきたい。国が、現に住んでいる住民を追い出すというようなことをやったら、この国は大変なことになる。 それをしっかり踏まえて、住民の願いをすべて受け止めてほしい。
|